読者からの感想文(要約)・読書評 お寄せ下さった皆様ありがとうございました。

1読書評 
.『サクラと小さな丘の生きものがたり』ぷねうま舎
優れたファンタジーが持つ、力強いメッセージ性と哲学が込められた物語です。」これは現代美術家で読書家の方が書いて下さったご感想です。ぜひこのホームページをご覧下さい(著者)。こちらへ特別全文掲載

3月11日の震災にまつわるストーリーだとは知らずに読みましたが、読み進めるとどんどんその影が迫ってきます。
まるで桃源郷のように美しい小さな丘に差す影。
私たちの日常には今、どれぐらいその影が覆っているでしょうか。
気にしなければ気にしないで済む程度になっていませんか。
 
私たちは、日々を幸せに過ごせればいいのです。
朝、目覚め、仕事をし、食事をし、仲間や家族と笑い合う、それが一番の幸せだと思うでしょう。
一人孤独に生きていたとしても、日々やるべきことを果たすことで、孤独ながらも生きることに喜びを見出せるのです。
 
でも、影を追いやることができなかったらどうでしょう。
怯え、恐れ、苦しみに満ちた日々でしょう。
だからなるべく思い出さないように、やり過ごすのです。
 
光と影のバランスが大事です。
放射能は漏れ続け、止めることができないでいるのに、やれミサイルが飛んできた、貧しく若い奴らは戦えと世間は言います。
闇を忘れ光も消すような行為が目に付きます。
良いとは思えません。
 
帰るべき故郷を失うことが人生を失うに等しいと感じる人々が、未だに苦しみ続けている。
自分の命より大切だと思っていた子供を失い、それでもなお生き続けることの苦痛から逃れることができないままでいる。
人間の悲しみは自分が人間であり続ける限り、避けられない。
そもそも肉体という檻の中に魂が閉じ込められているのが人間。
理想に生きるのは難しい、そもそもアンバランスな存在なのです。
 
そしていつの間にか、避けられないことを避けて行き、ゆがんでくる。
その方が「楽だと感じる」からだ。
暗闇はどんどん濃さを増し、人間にのしかかってくる。
 
 
芸術家は闇と光を持たねばならいと私は思っているので、闇を消したり光を消したりはしないで生きてきた。
これは簡単なことではなく、時に耐えがたい。
 
 
目を見開けば影が覆うこの世界に生きる私たち。
この物語の世界観で生きてみたらどうだろうか?
この物語のような世界に自分は生きられると考えてみたらどうだろうか?
 
 
この物語の登場人物である夫婦の、自然と共に、優しい心を持ったまま生き続ける姿のそばに、同じ生き物である動物や植物が、夫妻の思っている以上に彼らに心を寄せて生きている様子が描き出されている。
この夫婦が願っている以上に、自然は彼らに寄り添い、叶えられなかった夢を叶えてくれる。
自然であることが、超自然を引き寄せ、私たちに神の掌を垣間見せてくれる。
 
この物語の登場人物は、深い悲しみを乗り越えたところにいます。
乗り越えようとしているのではなく、一旦乗り越えたのです。
多くの物語は、乗り越えたところで終わります。
そこから先は読者の問題として放たれて終わる場合が多いのですが、この物語はその後があるのです。
乗り越えた先に何があるのか。
人それぞれなのでしょうか?
私はそれは等しく、平等に、同じものが訪れるのではないかと感じます。
慈愛と言えば良いのでしょうか。
穏やか何かが訪れるのだと思います。
 
でも、それを見つけるのは容易ではないかもしれません。
だからこそ、見つけられていなければ、乗り越えたと言えないのではないでしょうか。
 
この物語の最後の2章、「虹を越えて海へ」「幻の再会 生きる力」は、とても美しい世界です。
可愛い子犬たちが出てくるのですが、本当に愛らしい。
彼らのおかげで最後まで読みきれた気がします。
 
鶴田静さんの文体は優しく、愛情に溢れている。
そしていつも、力強いメッセージにあふれてる。
彼女の表現の源である「自然と共に生きる」というメッセージ。
自然と共に生きるしか救われる術はないことを、人はもっと意識すべきだと思う。
 
 
 
私はこの物語に出てくる言葉一つ一つに心を揺さぶられて、ページごとに涙が出てしまった。
すぐにこうしてレヴューもできないほど、心が動揺し、涙に溢れてしまった。
こんなふうになったら、体力気力が充実した時でないと、言葉がででこない。
この物語を読み終えて数ヶ月、ようやく向き合えた。
それほど、深い情感を呼び覚ます物語だった。
 
苦悩や悲しみよりも、笑顔や愛が私を泣かせるのである。
この理不尽な世界では、人々は愛で団結することができない。
爆弾で(戦いで)しか手を繋げない。
そんな世界で愛を持つことが、私を泣かせるのだ。
 

1.
『サクラと小さな丘の生きものがたり』にはいろいろな思いがギュッと詰めこまれ、文章と文章の間にゆとりがあって、読み手が勝手に自分の思い出を逍遥できる。ヤマボウシ、サクラ、ラッパズイセン、カボチャ、ピーナッツ、竹、クローバーなどたくさんの植物、タヌキ、イノシシ、ウサギ、イルカ、犬に猫などなど、生きものたちがそれぞれ人格を持っている。一話ごとのエピソートは情緒的で時間の流れもゆっくりだが、この星が何者かのせいで息苦しくなっていく現実がビシッと指摘されている。声を荒げることなく「言いたい事を言う」状況設定である。(60代 女性)

2.
主人公の夫婦の生きとし生けるものとの交流、心が温まります。「人と動物、天と地、これらが種の違いを超えて共存することから、生きものそれぞれが生きる力を与えられ、それぞれが生かされている。」まさに、ベジタリアンのサンクチュアリが描かれた素晴らしい作品だと思います。(50代 男性)

3.
著者の想いが良く伝わってきました。これまでの体験や歴史に裏付けられていますね。現在の世の中の問題を、評論のように難しく言うのでなく、誰にでも分かりやすく描かれています。文章や言葉も、素敵に書かれています。イラストもやわらかく、本の手触りがとてもあたたかく感じられます。(40代 女性)

4.
はじめは1節、1節が違う話と思って読んでいると、同じ登場人物が出て来て、繋がっていることに気づきました。終わりの「幻の生きる力」で、色々ななぞが解け、大きな輪に繋がったように思えました。地球に生きるいきものたち、花、鳥、木、犬や猫、そして人間、色々な悲しみを体験しながらも、前向きに生きる物語、そして大きな生命の循環、その中に生きる私たちなのですね。(50代男性)                              

 「サクラと丘....」紹介日本農業新聞  サクラ紹介 赤旗紙 かまくら春秋 紹介 
            
下記の塚本氏のエッセイはミニコミ誌「街から」に掲載されました。その一部です。
発行 株式会社街から舎 編集発行人 本間健彦 http://www.machikara.net/

塚本氏書評
2.『犬がくれた幸福』岩波書店   岩波書店刊  税込み1890円 四六判 208頁  
  17年間に渡る愛犬との波乱に 富んだ物語です。以前から、わが家でのワークショップにご参加の方がたの   アイドルでした。そのサニーへの沢山のお便りや写真を ありがとうございました。   エドによる犬たちの写真も載っています。ぜひ、ご高読 下さい。   目次   1章 幸福の始まり 2章 犬たちのナチュラルライフ  3章 食事は青空の下で 4章 犬と育った少女   5章 家族の計画  6章 愛するものを残して  7 章 幸福は続く 8章 永遠の家族   エピローグ 花を咲かせる天使


 
戌年に贈る、深い感動を呼ぶ珠玉のエッセイ           _____________________________________________________ 著者から 子犬たちと著者夫婦の織り成す家族の愛の物語です。 東京から農村に移住して飼い始めた二匹の柴犬の雑種ハッピーとサニー。サニーは老犬になり、17歳で逝きました。 その17年間の犬との幸せな暮らしから、著者と夫、その 家族の人生を述懐し、人生の意味を考えます。 動物や植物を「家族」として暮らす幸せをあなたにも願っています。 オビより 「ある日やってきた白い子犬が、夫婦二人だけの生活を根本から変えた。犬の引き起こす事件や出来事は、ベジタリアンである夫婦にペットと人間の文化を再考 させる。そして犬との人生は、深遠なる『幸福』の存在を教えてくれた。」 夫エドワード・レビンソンによる犬たちの写真でページを飾っています。 ____________________________________________________ 
Review鶴田静著『犬がくれた幸福』 週間東洋経済 9/9号 *評 者は「大学崩壊」というベストセラー本を 書いた法大の川成洋先生です    アライブ地 球生物会議 2006/9-10 福音館「母の友」誌2006/11月号 読売新聞 2006/8/9夕刊 「本 よみうり 堂」で紹介されました。 ビートルズとミュージック・シーンの゛カリスマ゛編集集団フロム・ビーの メルマガ「ビーメール」で、本書をご紹介下さいました。
Review 鶴田静著『犬がくれた幸福』  『犬がくれた幸福』というタイトル、犬好きなら納得してしまいますよね。 毎日、就寝前に少しずつ読みましたが、エピソードひとつひとつに、納得したり、 羨んだり、反省したり。犬を通じて人生まで教わってしまいました。なんだかと ても身近に感じる話なので、本を読んでいるというよりは、夜中にうたた寝をし たときに夢を見ているような感じで、犬の嫉妬とか、ベジ家庭の犬のお食事とか、 放浪するオスのお話とか、犬がくれるいろ~んな幸せを追体験させてもらいまし た。そんな幸福がいっぱいあるから、別れはとっても寂しい  この原稿を書いていて(なんとかビートルズと関連づけようとして)、さいた ま新都心のジョン・レノン・ミュージアムの展示スペースに入るとすぐに、ジョ ンが愛犬サリーを抱いた写真があるのを思い出しました。両親と離別し孤独な少 年時代をおくったジョンにとって、サリーがどれほどの幸福をくれる存在だった のか。犬と暮らしたことのある方なら実感としてわかると思うのですが、犬と 暮らしたことのない方はこの本を読めばなんとなくわかるかもしれません。  じつはうちにも犬がいて、日本古来からの柴犬のくせにバタ付パンが大好きで、 1日1度のプチ散歩を楽しむ以外は、小さなマンションの一室でじっとお留守番。 日をまたいで家をあける時は、やむなくペットホテルにご宿泊という、「アーバ ンライフ」を「エンジョイ」。かわいそうだな~とも思うけど、再会するときは、 きまってこっちが恥ずかしくなるくらい全身で喜びを表現してくれるのです。そ んなときにすべてが許されたようで幸福を感じます。ということで、映画『サー ジェント・ペッパー/ぼくの友だち』に続き、この本もまたビートリーで犬好き のみなさんにおすすめの一冊です。 (ひろた)